日経225miniの利用状況
CMO(モーゲージ証券担保債務証書)はモーゲージ・パススルー証券が支払うキャッシュフローを人工的に異なる償還期間を持つ部分に分解し各々の部分を原資として発行される複数種類の証券です。
第三はモーゲージ・ストリップ証券(MBS)です。
モーゲージ・パススルー証券が支払うキャッシュフローを人工的に利子償還部分(IO)と元金償還部分(PO)に分解し各々の部分を原資として発行される複数種類の証券です。
また個人向け住宅ローン債権ではなく商業不動産担保ローン債権を対象資産とするCMBS(商業不動産モーゲージ担保証券)も1990年代以降その重要性を増しています。
平たく言えばビルを証券化する手法の一つです。
個人向け住宅ローンを対象とするMBSに比較してCMBSは対象となる物件が大口となりプールに含まれる物件数も少なくなるため個別資産のリスク特性の影響を受けやすくなるという難しさがあります。
米国のRTC(整理信託公社)がS&Lの不良債権問題の解決策の一つとして利用したことがCMBS市場の発展の契機となりました。
不動産ローン債権以外の資産を対象とする証券化はABS(資産担保証券)と総称される金融商品です(適切な用語としては本来資産担保証券という言葉で全体を指しそれをモーゲージ関連証券と非モーゲージ関連証券に分けるべきでしょうが説明した通りの歴史的な理由によってMBSとそれ以外のABSとに分類することが慣習となっています。
ABSの主な例としては自動車ローン債権リース債権クレジットカードローン債権売掛債権等を対象資産として発行されるABSがあります。
MBSで個人向け住宅ローン債権のプールを作ったようにこれらの債権をいくつもまとめてプールを作りそのプールを対象資産として(すなわちプール全体で生み出されるキャッシュフローを原資として)証券化を行うのがこのABSです。
ここで発行する証券をCP(企業が短期資金調達のために発行する無担保約束手形)としてCP売却で調達した資金を(一定の条件を満たす)新たな資産の購入に向ける仕組みを備えたものはABCPと呼ばれ売掛金の証券化などで重要な役割を果たします。
その他にも金融機関による一般貸付けへの返済金をひとまとめにプールしそのプールを原資として数種類の証券を発行するCLO(ローン担保証券)や格付けの比較的低い複数の債券をひとまとめにしたプールを原資に証券を発行するCBO(社債担保証券)があります。
これらのCLOやCBOはCMOのABS版とも言えるでしょう。
ABSの手法は債権以外の資産へも広く拡張されています。
面白い例としては音楽使用に関わるロイヤルティー収入やゲームソフトの販売益等を担保とする証券化か行われ資金調達に利用されています。
さらに最近では地震や台風など大規模自然災害がもたらす被害への保険金支払いリスクを証券化して資本市場で売買するCAT債券をはじめとするILS(保険リスクの証券化)や気温等の天候の変化がもたらす収益の変動リスクを証券化して資本市場で取引するWLS対象範囲は拡大を続けています。
これらとは趣を異にしますが不動産ローン債権以外の証券化の重要な例に不動産そのものへの投資を主とするREIT(リート不動産投資信託)があります。
REITは資金運用先が不動産関連(取得や貸付け)に制限される一方一定の適格条件(資産の75%以上を不動産関連の投融資等で占めることや利益の95%以上を配当として支払うこと等)を満たすことで法人税がかからなくなるという税制上の利点を与えられます。
このため不動産市場への資金供給を促すための仕組みと呼ぶのがぴったりです。
また上記のMBSやABSとは違って負債ではなく株式の証券化である点投資対象となる資産の内容を変更したり増資ができる点が大きな特徴となります。
以上に挙げた証券化金融商品はしばしば全体をまとめてストラクチャード金融商品と呼ばれます。
証券化商品を作り出す際何らかの仕組み(Structureストラクチャー)が織り込まれるためです。
このような様々な証券化金融商品の登場は経済活動にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
証券化かもたらす基本的な経済効果を証券化商品の発行者その証券化商品を購入する投資家そして市場全体の三つの側面からまとめれば次のようになります。
まず証券化商品の発行者の立場から考えましょう。
証券化は第一に資産が将来生み出すキャッシュフローを売却して現在の資金を手に入れることを可能にします。
このため証券化を行えばたとえ資産そのものを売却しなくても(もしくは売却できなくても)資産を売った場合と同様に資金を調達できることになります。
第二に証券化商品を売却することで対象資産が生み出す将来の不確実なキャッシュフローは現在の確実な売却代金に交換されます。
このため証券化を行えば資産が生み出す収益の変動リスクは証券を発行した資産のそもそもの保有者から証券を購入した投資家へと移転されます。
よって証券化は資金調達及びリスク移転のために資本市場への新たなアクセス手段を証券化金融商品の発行者(すなわち資産のそもそもの保有者)に提供することになります。
これが発行者が証券化を実行する利益です。
事実米国の住宅ローンの証券化は住宅ローンの貸し手が貸付けに必要な資金を資本市場から円滑に調達するための仕組みとして開発されました。
自動車ローンクレジットカードローンの証券化も同様です。
また日本のABSもリース・クレジット会社に対し銀行からの借り入れ以外の新たな資金調達方法を提供することを目的に導入されたものです。
さらにCAT債券等の保険リスクの証券化は伝統的な保険・再保険市場だけでは不足していた保険リスクの引き受け手を資本市場に参加する一般の投資家に求めるために開発されました。
一方投資家の立場からすれば新たな証券化金融商品の登場は新たな投資対象の出現すなわち投資機会の多様化を意味します。
例えば住宅ローンの証券化であるMBSを考えてみましょう。
住宅ローン貸付けは建設する住宅を担保に資金を貸付けることで返済金を受け取るという一種の投資活動ですがこの投資はそもそも銀行など特定の金融機関だけが行えるものでした。
ところが住宅ローンを証券化してMRSを発行するとMBSを購入する投資家ならば誰でも住宅ローン貸付けと実質的に同じ投資を実行できることになります。
投資家がMBSの購入に支払う代金が住宅ローンへの貸付け資金となる一方で住宅ローンからの返済金がMRSの支払い金として投資家に支払われるからです。
MBSは住宅ローン貸付けと実質的に同じ投資を実行するという新たな機会を一般の投資家に提供するわけです。
リース債権やクレジットカードローン債権を証券化するABSについても同様です。
リース・クレジットといったそれまで手を出せなかった種類の投資活動と実質的に同じ投資を実行できる新たな機会を投資家に提供します。
またREITがあれば流動性の低さなどの理由で不動産に投資をしたくてもできなかった投資家も不動産と同様のリスク特性を持つ資産への投資が行えるようになります。
さらにCAT債券のような保険リスクの証券化金融商品はそれまで保険・再保険会社が引き受けていた保険リスクに一般の投資家が直接に投資しリスクを負担することを可能にするのです。
このように証券化は発行者には資本市場へのアクセスをより容易に投資家には資本市場での投資機会を拡大します。
この結果両者を合わせて資金市場全体で見ればまず証券の発行者は一層円滑に資金調達を行えるようになります。
また特定のリスクを抱えすぎてしまっている発行者はそのリスクを証券化して売却することでリスクの負担を望ましい水準に調整することができます。
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